赤ちゃんや小さな子供はお腹が痛くてもその事を的確に伝える事が出来ません。
ちょっとした様子の違いや反応から、大人が察してあげるしかないのです。
日常診療でよくみる病気をわかりやすく解説してみました。代表的な疾患のみを取り上げてあります。
38度以上の発熱、鼻みずやせきなどのかぜ症状がおきます。
感染力が強く、例年12月から3月の間に流行がみられます。
抗インフルエンザ薬によって解熱を1日程度早めることができますが、健康な小児であれば5日以内に解熱しますので過度な心配はいりません。
他の病気で治療中の子供さんの場合は重症となることがありますので、ご相談ください。
鼻みずやせきなどのかぜ症状からはじまり、3日から5日ほど39度以上の高熱がでます。
その後は熱がいったん下がりますが、再び39度以上の発熱とともに、赤い発疹が全身に広がります。
脳炎により運動まひを残したり、肺炎により死亡することもまれではありません。伝染力が強いため、現在でもときどき流行がみられます。
鼻みずやせきなどのかぜ症状からはじまり、38度前後の発熱とともに、ピンク色の発疹が全身に広がります。
はしかに比べて、発疹は小さく色もうすいです。
首のリンパ節も腫れます。妊娠初期にかかると、流産したり内臓の異常をもつ赤ちゃんが生まれる危険があります。
発熱は出ないか、出ても38度を超えません。
胸、背中、おなかに小さな赤い発疹があらわれ、全身に広がります。
半日程度で、みずぶくれとなり、数日でかさぶたとなり、乾いて治ります。伝染力が強く、しばしば流行がみられます。
のどが痛んで、39度以上の高熱が出ます。
首のリンパ節が腫れることもあります。熱が下がって2週後に、血尿やむくみがでたり(腎炎)、関節が痛んだり(リウマチ熱)することもあります。
のどの粘液を採取して、溶連菌が認められれば、抗菌薬を10日間内服して治療します。
百日咳菌によるのどや気管支の感染症です。
かぜ症状が2週間続いたのち、短い咳が連続的に起こり(痙咳)、続いて息を吸う時に笛の音のような音が出ます(笛声)。
発熱は出ないか、37度前後です。
生後6カ月未満の乳児ではこのような特徴的な咳発作がなく、単に息を止めているような無呼吸発作から呼吸停止へと進展することがあります。
発熱は出ないか、37度前後です。
手のひら、足の裏、口の中に水ぶくれができます。
手のひら、足の裏の水ぶくれは硬く破れにくいのが特徴です。口の中の水ぶくれは破れて「かいよう」になり痛みます。
3歳くらいから成人までの広い年齢にみられます。
発熱は出ないか、37度前後です。
両頬に赤い発疹があらわれ互いにくっついて、手でたたかれた跡のようになります。
腕や太ももの外側にも赤い発疹があらわれます。妊娠中のお母さんがかかると、流産することがあります。
生後6ヶ月から1歳までの赤ちゃんに多く、この病気による発熱が生まれてはじめての発熱となることが多いようです。
突然39度前後の発熱が4日間ほど続いて、熱が下がると同時に顔、胸、お腹などに発疹があらわれます。
39度前後の高熱がでて、のどの奥に小さな水ぶくれができます。水ぶくれは3日ほどでつぶれて潰瘍になり痛みます。
39度前後の高熱がでて、口の中が赤くはれあがり、痛みます。唇の周囲に水ぶくれができることがあります。
感染性胃腸炎ともいいます。ノロウイルスなどのウイルスによる胃腸炎です。
突然の嘔吐(おうと)に少し遅れて下痢が始まります。
発熱はみられないか、あっても38度前後です。吐き気止めを使用して嘔吐が止まるのを待ちます。
吐き気が止まり、飲めそうになったらスプーンで小量ずつ、アクアライト、OS-1などの経口補水液、みそ汁やリンゴジュースなどを与えます。
嘔吐が続いたり、下痢がひどい場合には点滴が必要となります。
平成6年10月に予防接種に関する法律が改正されました。
変更のポイントは予防接種が「親の義務」から「親の判断」になったこと、
集団接種でなくかかりつけ医による個別接種となったことの2点です。
問診票に基づいて、子供の体質やその日の体調を判断し、予防接種を受けても大丈夫かどうかを判断し、保護者の同意を得て実施することとなったわけです。ワクチンの改良などにより、予防接種の副反応が減ったとはいえ、まれではありますが重篤な副反応がみられる子供さんもいらしゃいますので、予防接種のてびきをよく読み、問診票はよく注意して書いてください。
予防接種はどこで受けても同じではありません。子供さんのことをよく知っているかかりつけ医で受けるのがベストです。
予防接種には、不活化ワクチン(B型肝炎・5種混合・小児肺炎球菌ワクチン・日本脳炎・インフルエンザ)と生ワクチン(ロタワクチン・BCG・はしかふうしん混合・みずぼうそう・おたふくかぜ)の2種類があります。
B型肝炎ウイルスに感染すると、大部分の方は1か月以内に治癒しますが、一部の方は治癒せず長い経過ののち肝硬変・肝がんになることがあります。
これを防ぐことがこのワクチンを接種する目的です。生後1歳までに3回接種します。
4歳以下で重症化しやすいロタウイルスによる胃腸炎を予防するワクチンです。生後1歳までに3回接種します。
接種後2週以上たって赤くはれたり水ぶくれができることがあります。
接種後1週以内に赤く腫れたりする場合は、診察を受けてください。生後5ヶ月目から受けられます。
接種後2週以上たって赤くはれたり水ぶくれができることがあります。
接種後1週以内に赤く腫れたりする場合は、診察を受けてください。生後5ヶ月目から受けられます。
生後2ヶ月から接種できます。1期初回として20日以上の間隔で3回、その1年後に1回、計4回接種します。
接種後7日から10日目にかけて少数の発疹がでることがありますが、通常3日以内に消えますので心配はいりません。
1期は、1歳から2歳未満。2期は5歳から7歳未満の小学校入学前の1年間、計2回接種します。
1期は、1歳から2歳未満。2期はその6か月以降、計2回接種します。
おたふくかぜによる脳炎や内耳炎を予防するワクチンです。父兄の希望により接種します。
1期は、1歳から2歳未満。2期は5歳から7歳未満の小学校入学前の1年間、計2回接種します。
蚊を介して感染する日本脳炎を予防するワクチンです。
3歳になると受けられます。1週間間隔で2回、その1年後に1回、計3回接種します。
毎年冬に流行するインフルエンザを予防するワクチンです。父兄の希望により接種します。10月から11月に計2回接種します。
37度6分以上あったら受けられません
予防接種は37.6度以上の熱があると受けられません。体の動きが激しいとき、泣いているとき、食後1時間以内には、0.2ないし0.3度程度の体温上昇がみられますので、これ以外のときに体温を測定してください。
よく見られる症状を取り上げて、家庭での対応についてまとめてみます。いろいろな考え方がありますので、一般的にはこう考えられているととらえて下さい。
熱が高いときは、はく息や汗からも水分が失われます。
飲ませる物は、湯ざまし・番茶などより、子供用のイオン飲料など、塩分や糖分を適度に含んだ飲料がより望ましいと思われます。着せる物は同じ部屋にいる大人と同じか1枚少ないくらいの薄着がちょうどいいです。
次のような時には急いで医療機関を受診して下さい。
1. 名前を呼んだり、頬を軽くたたいても、眼を開けたり手足を動かさない。
2. くりかえしておうと(嘔吐)する。
3. 呼吸が速くて、鼻をピクピクさせ息をする。
下痢・嘔吐によって失われた水分と電解質を補うためにつくられた飲み物を経口補水液(ORS)といいます。
アクアライト、OS-1などの名前で市販されています。嘔吐がおさまったら、哺乳瓶やスプーンで小量ずつ、与えます。下痢が治まってきたら、みそ汁やリンゴジュースなどを与えても良いでしょう。乳製品、冷たいもの、油もの、糖分の多いもの、生野菜など繊維の多いものは避けてください。
嘔吐がおさまらない場合は、点滴が必要ですので、医療機関を受診して下さい。
綿棒で鼻を掃除してあげましょう。粘膜を傷つけないように気をつけてください。
お風呂は熱が高くなければ入れて上げましょう。鼻の腫れをひかせる効果と、湯気が湿り気を与えてくれる効果が期待できます。
アトピー性皮膚炎・皮脂欠乏性皮膚炎・皮膚掻痒症などの一般的なの注意点は次の様なことです。
1. 発汗後はできるだけ早く汗を洗い流し、皮膚を清潔に保つ。
2. 石鹸は低刺激性のものを使用する。
3. 手のひらや肌ざわりの柔らかいタオルで洗う。
4. お湯はぬるめにし、長湯はしない。
5. 入浴直後に保湿剤入りのローションやクリームを使い、皮膚の水分を保つ。
6. 直接肌につける下着や衣類は木綿にする。
水分が十分とれていれば、むりして固形物をとらなくても大丈夫です。
目安として、おしっこの回数が1日で4~5回あれば水分はとれていると判断できます。それ以下の場合は、点滴による水分補給が必要です。
とにかく、あわてず、冷静に対応することです。一度おこしたことがある場合は予防対策などを、かかりつけの先生によく相談しておくことが大切です。
咳には、たんのからむ咳と、からまない咳があります。
診察を受けるとき、咳の状態を良く説明できる方が付き添うことが望ましいです。
咳以外の症状がなければ、入浴はのどに適度の湿り気を与え、たんをさらさらにしてくれる効果が期待できますので、入れて上げましょう。